宮城県石巻市の中学校で、社会人講師として、自分の仕事とキャリアについてお話しをする機会がありました。さまざまな職業の社会人が講師として呼ばれて、その仕事について、またどうやったらその仕事につけるかを話すものです。その際に、一人の男子中学生から「広報をやったら、社長になれますか?」という質問を頂きました。
「場合によるけれど、社長になれるケースは少ないかもねぇ」と言うと、質問者の熱量が少し下がりました。「でも、広報を知らないと絶対にいい社長にはなれないよ!」と続けると、彼はちょっとハッとして、その後ずっと私の話を聞いていました。それまで、会社のスタッフ部門の一角と捉えていた広報業務が、一瞬にしてキラキラした仕事になった気がしました。広報というと、会社によって振り幅が大きく、地味な仕事も多いですが、変わらないのは「社会から見られた時の客観性を保つ仕事」ということ。授業に行ったのは2015年ですが、震災から10年が経って、あの時の中学生たちはどうしているのかなと思っています。